eラーニング・プログラム第16回
レベルメーターの種類 (その2「VUメーター」)
このようなレベルメーターを「VUメーター(VU計)」と呼びます。
VUは、Volume Unitの略ですがそれ自体にはあまり大きな意味はありません。
むしろ、VUメーターとはどのような特徴を持ったレベルメーターで、どんな活用法があるのか、を理解してください。
<VUメーターは何を表示するか>
VUメーターは、音響機器の回路のある部分を通る音声信号がどんなレベルなのかを表示するためのものです。
VUメーターのレベルは、300ms(ミリセック)=0.3秒 の平均値を表示します。
つまり、以下のような表示になります。
●レベルが300ms以上変わらない持続音⇨そのままのレベルで表示
●スネアドラムの音など、一瞬音がして一気にレベルが下がるパルス的な音⇨(300msの平均値にすると)低めのレベルで表示
また、上の写真をよくご覧ください。
メーターの針が、「0」を指しています。これは「0dB」という意味です。
業務用音響機器の場合、この「0dB」は、業務用音響機器のライン入出力レベルである「+4dBu」(=1.23V)のこと。
つまり、このメーターが「0」を指している時、その回路には「+4dBu」(=1.23V)の電圧がかかっている(=電気が通っている)ということになります。しかしこれはあくまでも、300msの平均レベルですから、瞬間的にはもっと大きな電圧がかかっている可能性はあります。
<VUメーターが瞬間的なレベルを表示せず、300msの平均値を表示するのはなぜ?>
人間の耳では、瞬間的なパルス性の音が小さめに聞こえてしまいます。
逆に、同じ音量で持続している音は、そのままの大きさで感じます。
つまり、VUメーターは、人間の耳の聞こえ方、レベルの感じ方に準拠したレベル表示をするように作られているのです。
<どういう時にVUメーターでのレベル調整が有効か>
例えば、人間のナレーションやセリフのレベル調整をする場合、人間の声は部分的に大きくなったり小さくなったり、瞬間的なレベルがコロコロと変わり続けます。これをその瞬間、瞬間で表示しようとすると、あまりに変動が激しく、適正レベルにコントロールすることが難しくなります。そこでVUメーターの出番です!
VUメーターは、ナレーションやセリフのレベルを人間の聴感に近い平均レベルで表示してくれるので、レベルコントロールがしやすくなるのです。
<まとめ>
(1)VUメーターの利点
●人間の聴感に近いレベルを表示してくれるので、変動の激しい音声信号を適正レベルになるよう管理するのに有効
(2)VUメーターの欠点
●瞬間的なパルス性の音は小さめに表示されるので、VUメーターで適正レベルを表示していても、実際のレベルが、「過大入力」「過大出力」となっている場合がある。