eラーニング・プログラム 第4回
第4回 音の大きさについて(その1)
Pa(パスカル)という単位については、高校の物理の授業で習った方もいらっしゃるでしょう。
特に有名なのは、気圧を表す時に使用する「hPa(ヘクトパスカル)」という単位です。ヘクトというのは100倍のことなので、100Pa=1hPaということになりますね。
気圧の高低差は非常に大きく、Paのままでは目盛りが細かすぎて桁の多い数字になってしまい不便なことから、気圧を表す単位としては、より大きな目盛を持ったhPaという単位を用いているわけです。(東京–大阪間の距離をmで表すと桁が大きくなってわかりにくいのでkmを使う、というのと同じ理由です)
一方、音の大きさを「音圧」として表す場合、単位としては「μPa(マイクロパスカル)」が用いられます。μは1/100万という意味なので、1Pa=1,000,000μPaということになります。
圧力的に見れば非常に小さな圧力に過ぎない「音圧」を表す場合は、気圧の場合とは逆に、Paのままだと単位が大きすぎて不便なため、1Paの1/100万であるμPaを用いて、小さな圧力差を表せるようにしてあるのです。
<人間の最小可聴音圧>
人間が「音」として認識できる最も小さな音は、20μPaです。(これは覚えてください)
ただし、人間に限らず、動物の耳の感度は音の高さによって異なるため、「最小可聴音圧=20μPa」というのは、聞いている音の高さが1kHz(=1,000Hz)の時、という条件がついていますので、それも併せて覚えましょう。
<人間の最大可聴音圧>
人間が耐えられる最大の音の大きさは、20Paほどと言われています。これをμPaで表すと、
「最大可聴音圧=20Pa=20,000,000(二千万)μPa」ということになります。
最小可聴音圧から最大可聴音圧まで、100万倍の差がある、ということもできますね。
<μPaは、サウンドミクシング業務上、使いにくい>
ただし、このμPaという単位は、録音/コンサート音響/放送ミクシングといった音響業務を行う上では、非常に扱いにくい単位なのです。
なぜならば、耳で聴いた音の大きさの差をμPaで表現しようとすると、感覚的には少しの差が、数千〜数万μPaの差になってしまうことが多いからなのです。
これでは、いくら我々がトレーニングしても、音の大きさ、複数音源の大きさの差などを、μPaで感じ取って表現することは難しいのです。
そこで、「音圧(Sound Pressure)」と名称的にはよく似ている「音圧レベル(Sound Pressure Level)」という尺度と単位を我々は多用しているのです。
次回はその「音圧レベル」について、今日解説した「音圧」と比較しながら説明したいと思います。