Eラーニング・プログラム 第3回

第3回  音の3要素

どんな音にも、必ず3つの要素があります。

この「音の3要素」が何なのかは、音響を学ぶとき、一番最初に出てくる基本中の基本。音芸入学予定の皆さんは、ぜひ今のうちに覚えてしまってください。

<音の3要素>

(1)大きさ

どんな音にも音量というものがあります。

「大きい音」「小さい音」という表現ではあまりに主観的で、科学的な音量表記には不十分です。

そこで、音の大きさを科学的に表すために、dBspl(ディービーエスピーエル)という表記を用います。

工事現場にしばしば、騒音計が設置されていて、歩行者にも現在の騒音レベルが確認できるようになっていますよね?

あそこに表示されている「(  )dB」というのは、正確には「(  )dBspl」と表示しなければならないのですが、SPL(Sound Pressure Levelの略)がやや専門的すぎて一般の方には分かりにくいので、省略して表示しているのです。

70dBsplとか120dBsplと聞いても、大半の皆さんはまだ、その音量がどの程度のものなのか想像できないでしょう。しかし、音響のプロたちは、それがどの程度の大きさなのか、ほぼ正確にイメージできるのです。皆さんも早くそうなるようにトレーニングしていきましょうね。

(2)高さ

どんな音にも音程(ピッチ)があります。

今までは、ほとんどの皆さんが、音程をドレミファソラシドという西洋の音階で区切って聞き分けてきたのではないかと思いますが、これからは、Hz(ヘルツ)を単位とする周波数で感じ取れるトレーニングをする必要があります。なぜなら、皆さんが使う音響機器の、音の高さを表すパラメーターは、周波数で表示されているからです。

(3)音色

どんな音にも、その音固有の音色があります。例えば、アコースティックギターとギターアンプから出てくるギターの音の区別は皆さんにもつきますよね?

同じ音程を吹いても、アルトサックスの音と、クラリネットの音色は違うので、これも区別できる方が多いはずです。

これは、皆さんがこれまでの生活の中で、「楽器の名称」「楽器の姿」「楽器の音色」をセットにして記憶しているので、楽器の音を聞いただけで記憶の引き出しが開き、その楽器の見た目や名前が浮かんでくるのです。

また、エンジン音を聞けば、ほとんどの人が、大型トラック/小型乗用車/オートバイの違いを聞き分けられるのも同じ理由です。

この能力を意識的にトレーニングして磨き、また、(1)音の大きさ、(2)音の高さ、に関しての知識や聴き分け能力を磨くことで、「イコライザー」という音色を変化させるエフェクターを用いる際、自分が望む音色を短時間で生み出せるようになるなど、音響技術者としてのポテンシャルがグッと上がるのです。

まず今日は、「音の3要素」が何なのか、上の説明ごと、しっかり覚えてしまってください。

次回からは、この音の3要素の各項目について、少し踏み込んで解説していきたいと思います。